おうみリハビリだより

近江温泉病院 総合リハヒリテーションセンターの回復期リハ病棟・介護医療院・医療療養病棟・認知症治療病棟・ 近江デイリハセンターの理学療法・作業療法・言語聴覚療法の紹介

作業療法士を志す学生さんへ 作業療法士の仕事の一部をご紹介!

  私たち作業療法士は、入院されている方やご自宅で生活されている方に「日常生活の自立に向けて」や「役割の再獲得」など、その方が「できるようになりたいこと」「できる必要があること」「期待されること」を目標に作業療法を行います。

 「リハビリテーション」や「作業療法」というと、その方に直接関わらせていただく時間だけのように思われる方がいるかもしれません。しかし、私たち作業療法士は皆さんに直接関わる時間はもちろん、その時間のための下準備として行っていることがあります。今回はそんな作業療法士の仕事の一部をご紹介したいと思います!

 

 私たち作業療法士は、一人ひとりに寄り添って作業療法のプログラムを考えています。

 そのプログラム内容は身体の機能のこと、身の回りの生活や就労のこと、余暇活動のことなど多岐にわたります。

 例えば、若い頃から手芸が好きで長年続けていたけれど、病気の症状によりうまく指が動かせず、毛糸を切るはさみが使いにくくなった方がおられます。

 「指はうまく動かせないけど、それでも手芸は続けたい!」

 作業療法士はその思いに寄り添い、直接の関わりの中で指のストレッチや運動を一緒に行ったり、手芸をするときの姿勢を整えたり、作る作品の難易度を調整したりします。そしてさらに、その方の指の動かせる力で使いやすいようにはさみの改良をしたりして、大切な作業の継続を支援します。

 ここで下準備です。直接関わる時間以外に、どんな形のはさみならその方が使いやすいか、どんな大きさがいいか、はさみによっての切れ味はどうかなど、数種類のはさみを実際に使い比べ、さらに持ち手に工夫を加えます。

 そして、工夫を加えたはさみを直接関わる時間に実際に使っていただき、さらに再調整を加えることもあります。

 このように、実際に皆さんに関わる時間に向けて、下準備として行っていることが実はたくさんあり、この試行錯誤をしていくことも作業療法士の仕事の面白さの1つではないかと私は感じています。

 

 

(樹脂を使って試行錯誤を繰り返したはさみ)

 

  これから作業療法士を志す方や、他の職業を志す方でもそれぞれのお仕事には見える部分と見えない部分があると思います。様々なお仕事の見えない部分まで見ようとすると、そのお仕事のより面白い部分が発見できるかもしれませんね!

 

作業療法士  津田 美礼