おうみリハビリだより

近江温泉病院 総合リハヒリテーションセンターの回復期リハ病棟・介護医療院・医療療養病棟・認知症治療病棟・ 近江デイリハセンターの理学療法・作業療法・言語聴覚療法の紹介

「作業」が人と人とを繋ぐきっかけとなる!

近江温泉病院の作業療法科では、身の回りの生活行為の練習だけでなく、様々な目的のために、プログラムでよく「手工芸」を活用しています。

 

  手工芸をすることは手や頭の体操にもなりますが、その人らしさを取り戻してくれるものでもあります。

 今回は手工芸を通して心身共に元気になられた、回復期リハ病棟の患者さんとの関りを紹介させて頂きます。


「作業」が人と人とを繋ぐきっかけになる!そう感じた関わりです。

 

Aさん60代のご婦人です。
 脳の障害により利き手側が運動麻痺となり、失語症により言葉が出にくくなりました。

 元々はお孫さんの面倒もよく見ていたご婦人で、料理も得意で社交的な方でした。

 入院してこられた当時はスタッフの声掛けに対し答えようとしてくださいますが、言葉が出ず泣いてしまうこともしばしば・・・・。

 高次脳機能障害の影響により自分から行動されることは少なく、日常生活の多くの部分にお手伝いが必要でした。また失語症の影響から、頭では分かっているのに…言葉が出てこない。そんなもどかしさから、自ら人と交流することはなく、挨拶をされても俯いてしまう…そんな日々でした。


出来ないことばかり…。


・・・・・ですが、
出来ないことが多い日々の中で手工芸の作品は「できた!」という達成感に繋がりました。
 かわいいものが好きと知り、かわいい動物を一緒に作って頂きました。。

 

 その作品は、多くの方に褒めて頂き、笑顔が増えました。

 

 

 次はお孫さんに作りたいとのこと。

 

 お揃いの動物を作りました。

 

 お揃いのうち、ひとつはお孫さんへプレゼント。

 

 

 コロナ禍のため面会制限中の当院ではお孫さんと会うことはできません。電話も言葉が出ず、することが出来ない。ですが、作品がAさんとお孫さんを繋ぐきっかけとなりました。

 

  作品を受け取ったお孫さんからお手紙が届きました。嬉しくて見やすい所に飾りました。・・・・・・それを見てリハビリも頑張りたいとのこと。そして・・・・

 

 

 次は座布団を・・・・。

とても綺麗に編んでくださいました。

 この頃はリハビリで徐々に言葉が出てくるようになっていましたが、日常生活では自分から話そうとはされませんでした。

・・・・ですが、作品が色んな人に話しかけられるきっかけとなり、話す機会が増えました。

 

・・・・・話してみる。

それが相手に伝わり自信に繋がり、さらに笑顔が増え話すことが増えました。

 

 Aさんらしい社交的な面が戻ってきたように思いました。

 

 「作業」が人と人とを繋ぐきっかけとなる。

人と人とが繋がり、頑張りたい動機を見つけ、自信に繋がる。

 

「作業」の力を知ることができました。

 

 

回復期リハビリテーション病棟

作業療法士 戸上茜理