おうみリハビリだより

近江温泉病院 総合リハヒリテーションセンターの回復期リハ病棟・介護医療院・医療療養病棟・認知症治療病棟・ 近江デイリハセンターの理学療法・作業療法・言語聴覚療法の紹介

「夢が叶いました〜家族との対面〜」

 5月中旬のある日、前日の雨はやみ、澄み切った空の下当院の玄関前で感動の再会がありました。介護療養病棟に入院中の90歳代の女性患者様Aさんが、以前一緒に住んでいた犬の「リアンちゃん」と8ヶ月ぶりに対面されたのです。(犬といえども立派な家族の一員!)
 入院時よりAさんとの意思の疎通は困難でしたが、ご家族の協力のもと一緒にAさんの目標などをお話しさせていただきながら、Aさんにとって意味のあることって何だろうと考えてきました。入院時より、1日のほとんどをベッド上で過ごされ、車椅子に座っても数分で疲労のみられる状態でした。年齢なども考えると、正直なところ現状を維持するだけでも難しいかもしれない…、と思うこともありました。でも、まずは体力の維持・改善を目標に理学療法作業療法ともに協力しながらアプローチさせていただきました。精神面にも働きかけ、時々ではありますが発語や笑顔もみられるようになりました。小さな変化でもご家族に報告し、やりとりさせていただく中でAさんの生活歴をうかがい、どのような人生を送ってきた方なのか等、いろいろな事を教えていただきました。
高齢の患者様を担当させてもらうたびに、「この方が人生でやり残したことはないだろうか。」「リハビリという名目で、こちらの自己満足的なプログラムを押し付けていないだろうか。」と思い悩むことがあります。今回は、ご家族とのやりとりの中から以前一緒に住んでいた犬の「リアンちゃん」と会わせたい、という強い思いを聞くことができました。そこで叶うかどうかはわからないけど、「リアンちゃん」と屋外で会う、そのために車椅子に30分程度座って過ごせる体力をつける、と具体的な目標を考えたのです。幸い当日は全身状態も落ち着いておられ、絶好の晴天のもと「リアンちゃん」に再会でき、Aさんは何度も「リアン。」「リアン。」と名前を呼んでおられました。後日この写真を見たご家族は涙を流して喜んで下さったそうです。Aさん、ご家族の満面の笑顔を見ることができ本当にうれしい1日でした。                 
作業療法士:青野貴子)