おうみリハビリだより

近江温泉病院 総合リハヒリテーションセンターの回復期リハ病棟・介護医療院・医療療養病棟・認知症治療病棟・ 近江デイリハセンターの理学療法・作業療法・言語聴覚療法の紹介

滋賀県の大腿切断後のリハビリって???70歳代大腿切断後の義足装着を目指す患者さんとのリハビリテーション記

回復期リハビリテーション病棟に入院できる疾患として、 『義肢装着訓練を要する状態 』(切断から入院までの期間には制限なし)の患者さんが対象として認められています。しかし、当院回復期リハビリテーション病棟には、義肢装着訓練を要する患者さんが入院されたことが開設から今までありませんでした。
今回初めて大腿切断後に大腿義足装着訓練を必要とする患者さんに回復期リハ病棟に入院していただき、リハビリテーションを実施する機会がありました。
下肢切断に関しては、以下のグラフに示したデータにもあるように、外傷による切断した患者さんは減っているのですが、年々疾病が原因で切断している患者さんは増えています。このことからも、義足の装着訓練を必要とされている患者さんも増えているのではないかと思うのですが、今まで当院の回復期に入院される患者さんが居られなかったのは何故か…?急性期病院で義足の装着訓練を終えて自宅に退院されているのか…?十分な義足使用の検討がなされているのか…?当院以外の場所で義足の装着訓練を必要としている方が、十分な対応を受けられていれば良いのですが…。現状はどうか…、少し心配です。

私も、久しぶりに義足が必要な患者さんを担当することとなり、急いで最新の義足治療について調べてみて技術の進歩に驚かされました。まずは、足部パーツと膝継手パーツの種類が昔(私が学生であった頃)に比べて豊富になっており、患者さんの目標とする活動度に応じて最適なものが選択できるようになっている。


※川村義肢 義足カタログより引用


そして、大腿ソケット部分は下の図にあるようにシリコーン製のライナー式ソケットを採用し、脱着が以前からある吸着式ソケットよりも簡便である点に感動しました。


※川村義肢 義足カタログより引用


さらに今回は、ズボンや靴の着脱、床上の生活も考え、膝継手部が回転できるようにターンテーブルを採用し、あぐらもかけるようにしました。

入院後、断端のむくみの状態を確認しながら約2週で採型を行い、仮義足完成までの期間は股関節の関節可動域の維持改善に努め、非切断側とともに筋力増強運動を実施し、座位でのバランス練習と非切断側下肢での片脚立位バランス練習、松葉杖歩行・段差昇降練習を積極的に実施しました。
仮義足完成後は、数週に渡り義足アライメントの調整を行いながら、義足装着練習、立位での体重移動練習による膝折れを制御する方法を習得し、義足歩行練習は空き時間があれば自主練習も積極的に行っていただけたことで、多くの練習時間をとることができ、病院前の急な坂道の歩行も可能となられました。





退院時、義足を装着し歩いて退院された患者さん…。入院時に必死に練習されていた姿を思い出し、本当にお疲れ様でした・・・と見送りました。また数カ月後、仮義足を使いこなし本義足作成のために当院に来られて、退院後の色々な話を聞かせて頂けることを楽しみにしています。
私自身も今回の経験を活かし、今後も切断後に我々を必要としてくれる患者さんに出会った時、自信を持ってもう一度…、一緒に歩くこと、家で満足する生活を送ることを目指すリハビリテーションができるように、研鑽に励み続けたいと思います。
理学療法士:伊藤和寛