おうみリハビリだより

近江温泉病院 総合リハヒリテーションセンターの回復期リハ病棟・介護医療院・医療療養病棟・認知症治療病棟・ 近江デイリハセンターの理学療法・作業療法・言語聴覚療法の紹介

「入院時の私が経験して思ったこと・・・・伝えたい・・・・」回復期リハ病棟・卒業生より!

「伝えたい・・・」当院回復期リハ病棟・卒業生より・寄せられたお手紙です。
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病院のブログを初めて読んだ時のことを思い出します。
その頃はリハビリで歩けるまでは回復したけれども、手は亜脱臼のため腕を吊っていて、まだ自分では指を動かすことは出来ない状態でした。何か病院の先輩は手のリハビリのヒントを書き残してくれていないかと読んだ覚えがあります。何か手がかりがほしい時期でした。そんな時期を過ごしてきたので、入院時の私が経験して思ったこと、心配が解決したこと等を伝えられたらと思います。

 まず、私が近江温泉病院でリハビリがしたいと思ったところは、土日を含めた毎日リハビリしてくれる病院だったからで、そのころはリハビリを頑張って何とか3ヶ月間で回復したいと考えていました。私はまだ40代で男では一番若かったため体に無理が利くので、この病院入った時から足は杖で何とか歩けるくらいに回復していて手よりもだいぶ回復は早かった。それから病院で正しい歩き方ができるようにリハビリして、杖無しで歩けるようになりました。足が回復してくると当然思う事は手はどのように回復するのだろうということでした。この病院に入院して、50代から80代の人まで友人が数人できました。世代は違っても同じ病気で悩む人なので、こちらの気持ちもわかってくれるし、その人の気持ちもわかる。互いに悩みをわかり合える友人は大切でした。心の支えにもなりました。その中でも回復の早かった同世代の人にはいろいろ相談していました。最大の悩みである指の回復がどのような感じだったかよく聞いていました。当初から腕や足が全く動かなかったこと等同じだったので、回復の度合いも同じなのだろうと思い参考にしたかった。ただ、その人はある時から突然動くようになったそうで、別のよく話す女性の患者さんも突然指が動き出したことを聞いて、私もその突然動くようになるのを待つしか無いのかなと思っていました。その人達の努力等は考えずにいたので突然動き出すとはどういうことか理解ができませんでした。最後に思ったのは脳の動かす細胞が完全には病気で完全にダメージを受けなかったから突然動き出したんだろうなという理解でした。
 その頃からひょっとして私の脳細胞と指を動かす神経はまだ繋がってないのではないだろうかと疑念を抱き、悩むようになってきていた。テレビ等で脳卒中の特番が組まれ、麻痺についても詳しく説明していたため、病気に対する知識だけはありました。3ヶ月で治したいと思って来たけれど、だいぶん時期も過ぎても治らないのは、脳に神経が繋がらないせいかもしれないと真剣に考え込んで夜眠れないようになっていました。そのため、その頃の私の疑問は自分の回復が現在どれくらい治ってきているのかということでした。作業の先生に手の事も含めてその疑問を投げかけてみました。そうしたら先生はリハビリの専門書,を見せて説明してくれました。そこには私が知りたかった疑問の答えが数多く書かれていました。その時に知ったことは、

1.肩の阿脱臼は片麻痺の人の30〜50%の人がなっている。
2.左麻痺と右麻痺では利き腕等を動かそうとする意識の違いから左麻痺の人は回復が遅い。左麻痺は左側を無視してしまうことが多い。
3.脳の神経は発病から2・3ヶ月で新しい脳細胞と繋がれる。
4.回復には足と手それぞれに段階がある。・・・・・・というものでした。

このことを知って、本当に気が楽になりました。あまり焦りが無くなりました。その後、退院前に運転免許センターへ行って運転免許の更新が出来たことも安心につながりました。運転免許は仕事復帰に当っても、普段の生活をするにも必要不可欠なものであるため、更新できたことは気持ちの上で大きかったですね。近江温泉病院では運転シュミレーションで運転の練習をさせていただいたため自分の運転時での注意すべき点等がデータでわかりました。シュミレーションの練習レベルの初級、中級はそれ程難しくありませんでしたが、上級は高度で難しくて、運転の自信を少し無くしていたため本当に嬉しかったです。
現在は、通院でリハビリを受けています。病院を退院する時期には回復の停滞期で、それ程、体の良化を感じられませんでしたが、今は徐々に良くなっていることを感じられます。
入院中、近江温泉病院では、先生から手は回復が遅いものなんですと聞いたので、治らなかったらどうしようとか一時不安になっていました。ただ、今ではまだうまく動かないけど一年後には良くなって動くようになっているという裏付けのない自信がある。そのために心がけていることは、2つです。
①筋緊張したら必ずしっかり伸ばして緊張を取ること
⇒普段の生活の中では無意識に健康な右手右足で頑張ってしまって左手足が筋緊張してしまうことがある。筋緊張は動きを阻害するため取り除く事が大事です。
②手は意識して簡単なことから使うようにすること。
⇒できなくてもずっと動かすことを止めなければ絶対動くようになると思っています。
この二つを心に命じてリハビリして、一年後には必ず復活したいと思っています。

今、私と同じ左麻痺の人には、これだけ言いたいですね。亜脱臼の人には無理をしないでほしいのですが入院中から常に左を意識して、体の左側を動かすような動きを生活の中でしていただきたいということ。少し危ないこともあるので病院では勧められませんでしたが、例えばベッドからの立ち上がりでも右側に降りて立つのではなく左側から降りて立ち上がるようにするだけでも体幹等の回復の度合いは全然違ってくるように思います。

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お手紙ありがとうございました。