おうみリハビリだより

近江温泉病院 総合リハヒリテーションセンターの回復期リハ病棟・介護医療院・医療療養病棟・認知症治療病棟・ 近江デイリハセンターの理学療法・作業療法・言語聴覚療法の紹介

梅ジュースを作りました!

暦上の梅雨入りである「入梅」が過ぎ、認知症病棟の患者さん達と一緒に梅ジュース作りをしました。

 

今回は料理に覚えのある女性患者さん4人にお願いをしました。

病棟から作業療法室までお誘いすると「もう歳だし・・・」、「嫁さんに任せてるから全部忘れた」、「私に出来るやろか・・・」と皆さん消極的なご様子でした。

 

材料の梅、氷砂糖、漬けるためのビンを目にすると表情はパッと明るく一変!

「今から何漬けるんや?」、「梅干しか?梅酒か?!」と次々に尋ねて下さいます。

 

普段は一つ一つの動作に声かけが必要なことが多い方も今日は様子が違います。自ら梅に手を伸ばし、次の工程を説明する前に作業を進めていかれます。

「いい匂いやな」、「粒ぞろいでいい梅や」など自然と会話が口からこぼれ、作業療法室の台所が賑やかに。

皆さんの手際があまりにも良すぎて、写真を撮る間もなく作業が進んでしまいました(笑)

最後に梅と氷砂糖、リンゴ酢をビンに入れ、お一人ずつビンを揺すって頂きます。

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「私は手がアカンで・・・」なんておっしゃっていましたが、力強く揺すって下さいました。

病棟へ帰るエレベーターの中でも「いつごろ出来るんや?」、「出来上がりが楽しみやなぁ」と会話が止まりません。普段はどんな活動にお誘いしても「私は家に帰るからそんなことしてられません」と拒否をされるある患者さんは「こんな作業ならまた誘ってほしいわ」と言っておられました。

 

認知症治療病棟に入院されている患者さんは認知症になられ、日常生活のいろいろなことが思うようにできなくなってこられたことを感じながら、不安を抱えて過ごされている方が多くいらっしゃいます。また、周りの人からも「何も出来なくなってしまった」と思われていることも多々あります。

自分自身への自信を失くし、これまでしてきたことにも新しい活動にも意欲を持てなくなってしまう日々の中で、今回のような馴染みのある活動を同世代の方と一緒に行うことで「楽しい!」、「懐かしい!」、「私も出来る!」といったプラスの気持ちを引き出せたのではないかと思います。

『昔とった杵柄』・・・認知症にかかってもこれまで培ってこられた経験と知恵は身体が覚えておられます。人生の先輩としてたくさんのことを教えて頂けるよう、そして何より患者さんの「できた!」と笑顔に寄り添えるよう、これからも関わっていきたいと改めて感じた時間でした。

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梅ジュースができるまで3週間。きっと3週間後には梅ジュースをみんなといっしょに作ったことは忘れているかもしれません。しかし、一緒に作った時の楽しい気持ちは思い出して頂けるでしょう。美味しい梅ジュースができあがった頃に皆さんと一緒に、また楽しい時間を共有したいと思います。

 

作業療法士 久田