おうみリハビリだより

近江温泉病院 総合リハヒリテーションセンターの回復期リハ病棟・介護医療院・医療療養病棟・認知症治療病棟・ 近江デイリハセンターの理学療法・作業療法・言語聴覚療法の紹介

滋賀県認知症大会での発表および当院認知症病棟の取り組みについて

先日「滋賀県認知症大会」が行われ、当院からも2演題、発表をしました。

多田さん:最期まで、「できる」を支える 〜療養病棟作業療法から〜

療養病棟は、患者にとって現疾患の治療・療養の場であると共に、生活の場でもあります。患者さんが 認知症症状を併発している場合、療養生活はより困難なものとなります。そのような患者さんは「できる」 を感じる機会が少なく、自己効力感が乏しい状態にあると考えられます。そこで、患者が最期まで 「できる」を感じられるよう、作業を通して関わった事例を振り返り、療養病棟での作業療法に ついて報告しました。

高山さん:回復期病棟での認知症患者への関わり 〜作業療法の視点を通して〜

回復期リハ病棟において、認知症を有した患者は、急性期からの環境変化と身体機能の変化 により 認知症の心理行動症状 が生じることがあります。当院回復期リハ病棟では、パスを導入し、特に入院初期は安心安全な病棟生活に向け基盤を作っている。今 回このパスに基づき、認知症患者に対し作業療法の専門的な視点を通じ、関わった事例について報告 しました。

また、認知症治療病棟では様々な作業やレクリエーションを行っています。
その一部として、毎年、その年の干支の壁画作りをしています。薄い色紙を濡らして丸め、それを乾かして台紙に貼りつけます。一度には仕上がらないため、何日にもわたって取り組みます。
今年は、医療系専門誌に応募し、 表紙は飾れませんでしたが、中のページに掲載されました(作業療法ジャーナル第51巻第1号)。



もう高齢だから何もできない、と言っていた人が集中して紙を丸めてくださいます。
日頃、ぼんやりとした表情で過ごしておられる方がにこやかに手を動かして下さいます。
前日のことどころか、ついさっきのことも忘れてしまう方が、何の作業をしていたか忘れてしまっても、数人で賑やかに作業して楽しかったことを覚えています。

近年、認知症罹患者が増えていると言われています。当院でも認知症治療病棟や認知症疾患センターがありますが、回復期病棟や療養病棟にも認知症の方はおられます。
それぞれの方がそれぞれの場所で、できること・期待されていることがあり、認知症を患ってもいきいきと生活できるよう、当院スタッフもできるかぎりの支援をしていきたいと考えています。